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 なんでもないようなことをなんでもあるように、ただ彼女は言う。

 内容には意味なんてない。発展性も継続性もなにもない。それでも彼女はなんでもないこと、明日には忘れてしまいそうなことに意味を付け足す。

 彼女が作った世界には意味があるんだ。たぶん、僕が生きた世界とは違う特別なチューニングをされたミーニング。いつかその意味を理解できるように。明日の宿題となるべきもの。

 なんでもないことを意味があることに彼女はした。

 そして僕の話した内容を君はただの小石と同じだと嘲った。

 それに価値はないよね。先はないよね。残念ながら、苦悩は他者にはわからないからね。

 物事は酷くシンプルなんだ。つまりやるかやらないか、進むか進まないか。手が触れるかどうかじゃなく、掴もうとするかどうか。

 彼女は笑う。

 結局のところは望むか望まないかなんだ、と。内容なんて関係ないんだ。そこで理想のために苦悩を解決するために、首をかしげることに意味があるんだと。