*君が吐く。

 一瞬の煌めきに、闇が虹色にかわる。

 緑の烏が笑い、瞳はゆっくりと移ろう。

 赤い吐息が空気を染めて、ただほしいものを願った。

 縋れるものが欲しかった。けど、藁は要らないんだ。歪まないものが欲しかった。折れない、反れない、曲がらない、そんな願いを求めたんだ。

 彼の烏は羽が抜け落ち、溶け始める。その肌は銀色。無駄なものがない。

 降り立つ地面は黒。まるで影絵のように蠢く。

 白い尺取り虫が紫の水の上を滑る。

 肌も腐り落ちた鳥の内蔵は硝子。透ける骨はまた緑。

 そして君の望む朝はこない。